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フェトゥフッラー・ギュレン氏がウォールストリートジャーナルと行ったインタビュー

フェトゥフッラー・ギュレン氏がウォールストリートジャーナルと行ったインタビュー

1.首相はここ数週間の間、あなたとヒズメットを繰り返し攻撃してきました。彼の所属政党であるAKP(公正発展党)とあなた方の同盟関係は今や、決定的な終焉を迎えたとお考えでしょうか?

同盟というものについてお話しするとすれば、それは民主主義や普遍的な人権、また自由という共通の価値観を巡るものについてであり、政党や候補者に関するものではありません。2010年に行われた憲法改正のための国民投票の際に私は、EUの加盟条件にも合致しているこの民主的な改革がもっと前にCHP(共和人民党)により実施されていたとしたら、私は同党を支持していただろうということを述べました。

ヒズメットに加わっている人々を含め、トルコ国民のうち広範囲の人々が、民主化政策、軍による政治介入を終わらせたこと、またEU加盟手続きに向けてトルコを前進させたということでAKPを支持していました。我々はいつでも、我々が正しいと信じること、また民主主義の原則に則っていることを支持してきたのです。ですが同時に、間違いを認めた場合やこうした原則に反している事柄については批判を行ってきました。

我々の価値観やスタンスは何ら変化していません。我々はこれからも民主主義を提唱し続けます。政治の当事者たちのスタンスもしくは行動が以前から一貫しているかどうかは、トルコ国民と偏りの無いものの見方をする人々が判断を下すでしょう。

2.エルドアン氏とは10年に渡る同盟関係を続けてこられたかと思いますが、指導者としての同氏について最も気掛かりとなったことはなんでしたか?

再び明確にしておきたいと思いますが、同盟について言うならそれは価値観と原則に関するものです。AKPが政権にある期間中、我々は民主化政策を支持し、反民主主義的な行為に対しては批判し反対してきました。例えば2005年、テロ対策法案がテロ犯罪の定義をあまりに広く設定していたため、自由を侵害する危険性があるとして我々は批判を行いました。

2003年から2010年にかけては全体的な傾向として民主化政策の方向に動いており、広範囲のトルコ国民が同党を支持していました。これは2010年に行われた憲法改正の国民投票で58%の賛成票を集めたことからも明らかでしょう。まさにトルコは過去15年間で経済的、民主的発展を遂げたのです。

しかし、我々はこの民主化政策が継続することを望んでいます。「良い、しかし十分ではない」というスローガンを掲げて2010年の憲法改正を支持したトルコ国民は、ここ2年で民主化の動きが逆行してきたことに苛立ちを感じています。新たに民間で起草された民主主義的憲法によって民主主義の進捗は確固たるものとなり、トルコをEUの民主主義的価値観にしっかりとつなぎとめる役割を果たすこととなるでしょう。しかし残念なことにこうした努力は現在放棄された状態となっています。

3.首相による警察幹部更迭の動きに対するあなたの反応をお聞かせください。

警察もしくはその他政府機関の職員が国の法律や所属機関の規則に違反しているのだとしたら、誰もそうした行為を弁護することはできませんし、法に則った捜査もしくは当該機関による捜査に付されるべきでしょう。しかしながらもし、何ら法に反することを行ってはおらず、所属機関の規則を破ることもしていないのであれば、そして単に世界観や性向のいかんによってその個人のデータがファイル化されているとしたら、また差別的な処遇の対象とされているのなら、このような処置は民主主義や法の支配、普遍的な人権とは相容れないものです。

イデオロギーや何かへの賛同もしくは世界観に基づく人員の入れ替えや更迭は過去の慣習であり、現在の与党が選挙運動中にその廃止を約束したものです。ほんの数ヶ月前には英雄として称賛を送られた警察官や裁判官が、今、冬の只中になんの取調べを踏まえることなく入れ替えにさらされているとは皮肉なものです。

4.ヒズメットが学生たちに警察や司法の道における職業選択を積極的に奨励したのはどういう理由からでしょうか?

まず質問における前提を正すことから始めましょう。私ができるのはただ、個人的な主張を述べることだけであり、その発言はトルコの市民一般に向けてなされています。私は常々、教育が、人を育て社会に堅固な基盤を構築する最良の方法であると信じてきました。あらゆる社会問題は個人から発生するものであり、個人のレベルで長い時間をかけてでないと解決することができません。個人がなおざりにされると、システムや機関、もしくは政策といったレベルでの解決は失敗を余儀なくされてしまうのです。ですから、私の第一の、そして最大の主張というものが教育でした。

私の考えに賛同してくれた多くの人々が、寮や予備校から私立の学校、無料の個別指導センターまで、あらゆる種類の教育機関を設立したのもこのことからです。こうした諸機関のおかげで、社会のより幅広い階層に質の高い教育に接する機会が提供されたのです。これまでこうした諸機関は少数の恵まれた人にしか開かれていませんでした。

私はトルコの人々に、トルコ社会のあらゆる面、国のあらゆる機関の中で存在するよう奨励しました。なぜならこうした諸機関が社会の多様性を反映することが重要だからです。しかしながら学生やその両親の選択は、雇用の機会であるとか昇進の期待度といった様々な要素によって形成されています。私はこれら家族が考慮した要素のうち自分の主張がどの程度影響を与えるものだったか定かではありません。

ヒズメットの活動に参加している人々によって設立された諸機関についていえば、そこの卒業生たちの職業選択に関する正確な評価を知りません。しかしあなた方がお考えになっていることとは逆に、あなたが仰られたような分野(警察、司法)における就職を検討する学生たちにとって、そうした諸機関から卒業していることは歴史的に見れば差別の原因となりかねないことだったのです。

5.政府は、クーデターを計画したとして告訴された軍幹部たちの裁判を見直すことを示唆しています。彼らが新しい同盟を作り上げあなたの支持者たちに敵対するという恐れはありますか?この動きに対するあなたの戦略をお聞かせください。

新たな証拠、もしくは法的手続きにおける不正の露呈に付随する再審は、普遍的な人権に適っています。新たな証拠が浮上したのでしたら、もしくは法的手続きに不備があったと判断されたのでしたら、再審は法律上の権利ということになります。無実の人間が不当な懲罰を受けることを願う人などいるはずもありません。

しかしながら、何千もの判決を完全に無効にしようとの意図が含まれているのだとしたら、それは司法制度の信頼と過去10年間に打ち立てた民主化の成果を揺るがすこととなります。2010年の憲法改正によってクーデター企図者を民間法廷で裁くことがトルコ史上初めて可能となったわけですが、そこで賛成票を投じた58%のトルコ国民にこうした動きを説明するのは非常に難しいと言わざるをえません。また長年に渡って現政府の指導者としての立場にあり、民主主義の勝利としてこれら裁判を支持し、裁判に関わった勇敢な検察官や裁判官たちを自らの言葉で称賛していたにも関わらず、こうした姿は皮肉とも言えます。政治指導者たちの中には軍幹部を民間の支配化に従属させたといって鼻に掛けている者がいるとの報道もありました。

裁判の信用を傷つけ、司法の世界のあるグループのせいにしようとする現在のレトリックは、過去10年に渡る統治期間中に政治指導者が行ってきたレトリックとは完全に正反対となっています。ここには偽善の要素も含まれているようです。トルコ国家情報機構(MIT)長官が、KCK(クルド社会連合)・PKK(クルド労働者党)部隊によるテロ行為に諜報部員が関与したとされる件についてある検察官からの接触を受けた際、政府は諜報部の長官に捜査を行う場合は首相の許可を必要とする法案をただちに成立させました。一方で与党に確実にその力があったにも関わらず、参謀総長や軍司令官たちに同様の保護をもたらす類似の法案については通過を見ませんでした。この矛盾を見れば、再審に関する最近のレトリックも、軍幹部に対する正義の実現というよりは政治的な動機に基づいていると見るのが正しいでしょう。

もしそれが実行に移されるなら、そうした動きがここ数十年に渡って進められてきた民主改革への打撃となるのは必至です。民主主義的機構への軍の介入を排除する努力は劇的な反転を見せるでしょう。トルコでは選挙で選ばれた政府が軍事クーデターで倒された例が過去約半世紀の間で4回発生しているのです。

6.コチ財閥からドアン財閥まで、各種企業がエルドアン氏との政治的スタンスに差異が生じるなり政府の標的とされ、税金の罰金を科されるなどしています。近頃の動向に照らしてヒズメット参加者が行うビジネスへの脅威を感じることはありますか?

ニュースの報道から、私はあなたの仰っていることがもはや脅威ではなく現実となっていることを実感しています。コザ・グループ、イスティクバル・グループ、アスヤ銀行は、異例の取調べ、罰金、許可の取り消し、予期せぬ大量の資金の引き出しといったあらゆる形で標的とされ、その前には政権寄りとして知られるあるニュースサイトで同銀行に対するネガティブキャンペーンが行われたりしていました。

7.ギュル大統領は保守派からリベラル派、ヒズメットまで、あらゆる派を一堂に集めることのできる穏健な指導者と見られています。あなたはギュル氏が首相として導くAKPを支持されますか、それとも同氏は大統領としてのほうが国にとって有益であるとお考えですか?エルドアン氏と比べてギュル氏のほうがより親身に耳を傾けてくれそうだとお思いですか?

我々は常々、すべての政党に対して同じ距離を保つよう努力してきました。市民社会における運動ですから、我々がある特定の政党や候補者への支持を表明したことはありません。ただヒズメット参加者個人が特定の政党もしくは候補者を自分たちの考えや価値観に近いとみなし、それぞれの自由意志から支援を寄せることはあります。

ギュル氏は現時点で我々の大統領です。彼の名前を取り上げて将来のシナリオを推測することは我々にとって不適切となります。

8.ここ数週間、メディアにおけるあなたの支持者の多くがCHPが主導権を握ることに非常に前向きな姿勢を見せています。次の選挙戦でヒズメットとCHPが提携する可能性はあるとお考えですか?

繰り返しますが我々が特定の政党や候補者と同盟関係になったり提携したことは一度もありません。支持するにしろ批判するにしろ、我々が行うのは価値観を巡ってのみです。今後もそうした提携がなされることはありません。市民社会の活動家として、社会のすべての人々に開かれていることは不可欠です。ただ我々の価値観は明白です。民主主義、普遍的な人権と自由、透明かつ責任の所在が明らかな統治などがこうした価値観に含まれています。

ヒズメット参加者たちも、他の市民と同様、タイミングを見計らって己の価値観に基づいた選択をすることでしょう。本質的価値観を共有する人々が同じ方向性にのっとって選択を下す可能性はあります。

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